不動産投資と保険 「三匹の子豚」のおとぎ話から考える保険の活用の考え方
前回、リスク対策の手法として、「リスクコントロール」と「リスクファイナンシング」についてお話しましたが、今回は「リスクファイナンシング」の中から、損害保険のお話をします。
「保険の活用」を検討する上で、昔、私が尊敬する方から聞いた(保険版)「三匹の子豚」というおとき話があります。
それぞれの状況によって、リスク対策(保険の活用法)が異なる、という例として、とても分かりやすい説明で、特に記憶に残っているので、今回はこのお話を例に、保険活用の考え方をお話しいたします。
「三匹の子豚」のおとぎ話から考える保険の活用の考え方
「三匹の子豚」は、皆さんご存知の通り、成長した三匹の子豚がそれぞれ家を建てたというあの話です。
長男は、藁で家を建てました。藁はどこにでもたくさん落ちているので、お金もかからず、かつ、簡単に作ることができました。
次男は、丸太(木材)で家を建てました。小さい頃から貯めたお金で丸太を買って家を建てることができました。家を建てるまで1週間かかり、ようやくできた自分の家に満足しています。
三男は、レンガで家を建てました。小さい頃から貯めたお金だけでは足らなかったので、村の長老さんからお金を借りて家を建てました。家を建てるまでに1カ月かかりました。
子豚たちにとってはどれも大事な家なので、万が一のリスクに備えて、自分の家にはどんな保険が必要なのか、村の長老さんに相談にいきました。
藁の家は、風が吹くと飛んでしまうし、火の粉がふりかかるとあっという間に燃え広がってしまう。
丸太の家は、少々の風や火の粉にはびくともしないのですが、火事やシロアリに弱い。
レンガの家は、風が吹こうが、火事にも強いが、地震に弱い。
長老さんの答えは次のようなものでした。
「レンガの家には地震保険に入りなさい。」
「丸太の家には火災保険、さらにはシロアリ対策用の薬剤を塗るようにしなさい。」
「藁の家は……保険はいらない。どこにでも落ちている藁で作ってあるのだから、家が潰れたら、またタダで作ればよい」といった回答でした。
藁の家に関しては、経済的なダメージがないのに、保険料を支払ってまで備える必要はないということです。また藁の家は、ちょっとしたことで被害に遭う可能性が高いです。ということは保険料も高くなり、ますますもって合理的ではないという話になります。
保険は不測の事態が起きることでの経済的な損失に対する備え、資金繰りの一手段です。
まずは、損害を発生させないための工夫が必要で、その上で想定される経済的な損失をいかに軽減するかを考えるかが大切です。
不測の事態が起きた際の経済的な損失の軽減のために、どの程度保険を活用する必要があるのかをよく検討してみるとよいでしょう。
保険の加入は大事なテーマですが、過大な補償を付けた保険契約は、あなたのキャッシュフローを削る要因にもなります。
一つの物件で見た場合には、それほど金額の差はないかも知れませんが、複数棟を長期間にわたって所有するとなると、「チリも積もれば・・・」の言葉通り、それなりに大きな金額の差が生まれます。
是非一度、ご自身の保険契約を見直し、本当に必要な補償かどうかを検討してみてください!(補償内容が分からない場合は、代理店に確認しましょう!)