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不動産コラム 不動産投資のリスクをコントロールする~収益性に関するリスクとその対策(2)

不動産投資のリスクをコントロールする~収益性に関するリスクとその対策(2)

前回は、「収益性(キャッシュフロー)に関するリスク」の中から、「空室リスク」と「家賃滞納リスク」の対策について解説しましたが、今回はその続きで、「賃料下落リスク」「修繕リスク」「金利上昇リスク」について解説したいと思います。

 

「賃料下落リスク」の対策

「賃料下落リスク」への対策は、物件購入前から始まります。そもそも経年に応じて家賃が下落するのは、ある程度やむをえないことです。この場合、大切なのは将来の下落率をどれだけ正確に予測できるか、ということです。この点、購入時の収支計画を厳しく確認し、それでも経営が成り立つか確認することがポイントになります。

それでは、あなたが物件を購入するとき、「収支計画」のどのような点に気をつければよいのでしょうか。それは「潜在賃料と実際の賃料の乖離」です。

「潜在賃料」とは、平たく言うと「相場でいくらで貸せるか」です。この潜在賃料と「実際の賃料」との間に乖離が大きいとリスクは高いと言えるでしょう。入居者の入れ替えがあったときに、急激な家賃の下落が予想されるからです。

そもそも、物件が新しいときは総じて賃料が高いものです。しかし数年後に入居者が退去し、新たに入居者を募集する場合、古くなった分だけ賃料を下げざるを得なくなります。

そして、この現象は新築物件に顕著に現れます。通常、新築時の家賃は相場よりも1割程度高く設定されます。私はこれを「新築プレミアム」と呼んでいますが、この新築プレミアムは5年程度で剥げ落ちます。このときの下落幅が相当に激しいので、予め収支計画に織り込んでおく必要があります。

ちなみに、潜在賃料は賃貸住宅の情報誌や総合情報サイトで簡単に確認することが出来ます。同じような物件がどのくらいで募集されているか、すぐに分かるはずです。

そして、その相場感をもってあなたが買おうとする物件のレントロールを確認してください。相場から突出して高い部屋はないでしょうか。もしそのような部屋があれば、早晩、賃料は大幅に下落するでしょう。

私も収益不動産のコンサルティングをするときには、まずこの潜在賃料でレントロールを作り直し、そこから収支計画をつくり投資診断をしてします。是非参考にしてください。

 

「修繕リスク」の対策

「修繕リスク」の対策ですが、「賃料下落リスク」と同様に不動産投資に「修繕リスク」は付き物であり、避けては通れない道です。修繕には、「定期的に発生する修繕」と「予期せず突発的に発生する修繕」があります。

まず「定期的に発生する修繕」ですが、対策としては、長期修繕の見込みを立て、資金を積み立てておくことです。そもそも建物には、防水工事(屋上、バルコニー)や、外壁塗装など、大掛かりな修繕が定期的に発生します。

特にエレベーターなど、一度事故が起こると入居者の生命・身体に直結する設備は大変重要です。これらの修繕を怠ると、今度は訴訟リスクが高まりますので注意しましょう。

これらの修繕費用にどの程度のお金がかかるか、リフォーム会社などから見積もりを取ってみてください。将来的に発生するであろう金額を把握出来るはずです。また、この時に安価で仕事が丁寧なリフォーム会社を探しておくと、今後の賃貸経営に大きなプラスとなります。是非リフォームのパートナー探しをしてみてください。

次に「予期しない突発的な修繕」ですが、まずは損害保険の加入状況を確認しておくことです。賃貸経営をしていると思わぬ損害が発生するときがあります。もちろんすべてを保険でカバーすることはできませんが、中にはうまく保険で損失を補償できるものもあります。

実はこの損害保険の知識は非常に重要です。詳しくは稿を改めますが、賃貸経営に関する損害保険の専門家がいれば是非パートナーとしてチームに組み入れることをお勧めします。役立つ特約などもありますので、是非情報収集してみてください。

 

「金利上昇リスク」の対策

最後に「金利上昇リスク」の対策ですが、残念ながら決定的な解決策はありません。というのも、ひとたび市況が動き、金利が変動すれば一個人では対応できないからです。それでも取れる対策としては、平時にできるだけ金利を下げる努力をすることです。

金利を下げるためには、まず融資を受ける段階で、出来るだけ金利の低い、条件の良い金融機関を選ぶことです。当たり前のようですが、このことは、実は多くの投資家に見落とされてています。というのも、皆さん「借りやすい銀行」に流れるからです。私は、購入戦略のプロとして、審査が厳しくても、条件のいい金融機関から当たることをアドバイスしています。

借りやすい金融機関は金利が高いことが多いのが現状です。この点、きちんとした融資知識を持っていれば、入り口の段階から金利を下げることが出来るはずです。

そのほかにも、固定期間満了時の金利見直しや、借り換えなど、いくつか工夫できる要素がありますが、大切なのは金融機関と 交渉できるだけの「属性を整えておくこと」です。簡単に言えば、あなたが金融機関にとって「お金を借り続けてほしいお客であること」が対策と言えるかもしれません。

 


 

以上、収益性に関するリスクについて、代表的なものをご紹介しました。紙幅の関係上、詳細はお伝えできませんでしたが、また改めて詳述できればと思います。

繰り返しになりますが、これらのリスクは、毎月のキャッシュフローを悪化させますが、運営手腕や購入時の調査などである程度対策を打つことは可能です。是非これらのリスクを理解し、その予防(コントロール)を心がけてください。  

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