あなたに合った不動産投資法はどれ?
(質問)
副業で不動産を購入したいと思っています。大家さんの体験談が書かれた本を複数読みましたが、色々なやり方があるようで、ちょっと混乱しています。どんな投資の方法があって、自分にはどの投資を選べばよいか、教えてもらえると嬉しいです。
(回答)
ご質問ありがとうございます。確かに、不動産投資には、様々なやり方があります。どれが正しい、ということはありません。ただし、属性によっては、出来る・出来ないがあったり、向き・不向きがあります。特に副業ということを前提とすると、時間や手間をかけられない背景もあるでしょう
あなたがどんな物件に投資すべきかは、あなたが不動産投資で何を重視するのかによって変わります。今回は、6つの不動産投資の方法をお伝えします。簡単なレーダーチャートを作りましたので、それをもとに解説していきます。※レーダーチャートの数値はあくまでも筆者の経験則に基づく評価点です。評価要素は以下の6点。積算評価 利回り キャッシュフロー 出口 融資 メンテナンス。
6つの不動産投資法とは?
1. 高積算・中古鉄筋コンクリートマンション
10年前に不動産投資業界を席巻した投資法です。積算評価(※)が出やすい物件で、かつ「融資期間」の長い「鉄筋コンクリート」物件を選びます。資産バランスを良い状態に保ちながら、キャッシュフローを最大化させる方法です。資産形成のスピードが速いので、すぐに実践できるサラリーマンの方に大変人気のある投資法です。
中古RCは、大体25年~30年くらいの融資期間を組める物件を選んで、それなりに利回りの高い物件を選ぶのがポイント。昨今、そんな物件は少なくなっているので、物件の確保が難しいところかもしれません。
2. 土地値・築古アパート・戸建て
こちらも人気の投資法で、建物価値はほとんどないが、土地の面積が大きく、物件価格がほぼ土地値の物件を狙う手法です。物件を買い進めても、資産バランスが崩れにくいので、後から強い投資です。担保評価か充足されやすいので、資産バランスを崩さずに済む反面、立地が都心というよりも地方に出やすいため、賃貸募集のスキルアップや経験が必要となる投資法でもあります。また、建物の築年数が古い分、融資期間を長く組めません。
3. 新築アパート(木造・鉄骨造)
新築木造はここ数年注目されてきた投資法です。本来木造物件の融資期間は最長22年ですが、新築木造の場合は最長で30年の融資期間を設定することが出来る場合があります。なおかつ、それなりの利回りの物件を仕込めれば、割と良い感じでキャッシュフローを得ることが出来ます。
なお、発展形として、新築重量鉄骨造を販売している建設会社もありますが、利回りと立地さえ良ければさらに有利に融資を組むことが出来るほか、耐用年数が長いため、出口もある程度取りやすいというのもメリットです。デメリットは価格が木造よりも高くなるので、利回りが落ちることです。その点のバランスが取れるようなら良い物件だと思います。
4. 新築マンション(RC)
出口のとりやすさは、RCが抜群です。何しろ法定耐用年数が長いので、次の買い手が融資を付けやすいのが最大のメリットです。重量鉄骨はそれに次いで耐用年数と融資期間が長くなる構造です。
また、大き過ぎず手ごろな規模ですと、相続対策で物件を求める人が出口のターゲットになってくるので、余計に出口が取りやすくなります。ただし、築浅・新築のRCは利回りが低くく、総じて保有期間中のキャッシュフローが出にくいので、一定期間の我慢が必要です。また、大きな投資になりますので、年収や資産規模など、一定の基準を満たした人でないと実践できないと思います。
5. 高利回り・築古アパート
とにかく高利回りの物件を狙う方法です。当然ながら、投資効率は最も良いパターンです。ただし、融資を受けるのが難しいのがデメリットです。融資さえ受けられるのであれば、最も稼ぎやすい投資です。あとは、融資期間が短くなりがちなので、キャッシュフローの心配はあります。金利の高い金融機関で借りると、どうしても安全性が損なわれますので、その点はご注意ください。規模的には小さめの物件になると思います。
6. 区分投資
これまでは、一棟ものを中心にお話しておりましたが、区分所有のマンションに投資する方法もあります。区分所有では比較的少ない金額から不動産賃貸業を始められる利点があり、地域を分散することで災害のリスクを軽減できるなどのメリットもありますが、一方で、他のオーナーとの兼ね合いで、管理規約等に則り、入居条件の変更やリフォームが自由に行えないなどのデメリットもあります。詳しいメリットデメリットは別の稿で記載します。
この中で、どんな投資をやりたいのか、ご自身のイメージを持っていただくのが第一歩ですね。ただ、レバレッジを思いっきり利かせて大きな金額を動かす場合は、どうしてもそれなりの年収や資産背景が必要となります。資の現場は結構残酷です。やりたくても出来ない投資パターンもある、という現実があることをご理解ください。
副業のサラリーマンに人気の投資はどれ?
(質問)
何を重視するかによって選ぶべき投資の方法が違うのは良く理解できました。ただ、そうはいっても、ある程度の傾向はあると思います。副業サラリーマンに今どんな投資が人気なのか、もう少し教えてください。
(回答)
副業サラリーマンに人気が高いのは、やはりキャッシュフローを最大化させる投資です。損益計算上の利益よりもキャッシュフローの方が重視されます。サラリーマンが賃貸経営を志す理由で最も多いのが、早期退職したい、というもの。次に多いのが老後の備え。少し所得に余裕があるサラリーマンだと、ゲーム感覚(マネーゲーム)で規模の拡大を図る人も多くなっています。ですから、出来るだけ多く手元のキャッシュフローを厚くしたい、というのが皆さんの願いです。出口の不安はありつつも、とりあえず大きなレバレッジをかけるサラリーマン投資家が多いのはそういうことです。
そうすると、まずは中古鉄筋コンクリートの人気が高くなります。築20年くらいであればそこそこ融資期間も取れるし、利回りも乗ってくるため、より多くのキャッシュフローを見込めるからです。しかも、そこそこ規模も大きくなるので、融資さえつけば、大きなキャッシュフローを期待できます。
しかしながら、人気がある、ということは、そういう物件の取得は競争が激しいということです。年々中古鉄筋コンクリートの物件の値段は上がっています。逆に言えば利回りが下がる、ということです。そうすると、副業サラリーマン投資家が喉から手が出るほど欲しいキャッシュフローがどんどん少なくなる、ということです。中古鉄筋コンクリートの物件は、今後融資の引き締めが起きないと値段は下がらないと思います。
ということで、次に注目されているのが新築木造投資です。新築なのでどうしても利回りは低いですが、その分、融資期間を長目に取れます。しかも、新築時に限って法定耐用年数を超えて融資してもらえることがあります。通常22年が上限のところ、30年、という具合です。そうすると、そこそこの利回りを確保できれば、悪くないキャッシュフローを得ることが出来ます。なおかつ新築物件なので、修繕費用などが当面かからないで済む、というメリットも享受できます。そういう観点から、新築のアパート経営を進める建設会社や不動産業者も増えてきました。
新築なので、築浅の段階で売却すれば、比較的出口も取りやすいと考えられているのも人気の一つでしょう。注意点としては、完成するまでに時間がかかるということ。建築中のトラブルが発生するリスクも抱えるので、その点はきちんと理解したうえで購入してください。
あとは、地方の築古木造アパートを高利回りで仕入れる方法です。地方のアパート経営はちょっと腕が必要です。賃貸募集と物件の遠隔操作(管理)が必要だからです。腕に自信があるならば有力な方法でもあります。一般に地方の物件は割安、高利回りです。融資を受けられる金融機関は限られますが、うまく回り出すと、非常に高収益な物件に変身してくれます。副業サラリーマンはどうしても年収によって実践できる投資法が限られてしまいます。年収や資産背景の関係で、どうしても大きな借り入れができない人などは、このやり方を実践する方も多いです。
ネックとしては、空室リスクが高いことと、修繕のリスクです。このあたりをきちんとコントロールできるのであればこの投資もOKです。多くの副業サラリーマンが実践しています。