副業の不動産収入を確定申告するには?
(相談)
今年こそ、不動産を買って、副業で不動産収入を得たいと考えています。まだ気が早いですが、取得後に必要となる税務申告について教えて下さい。今まで確定申告をしたことがなかったのですが、収益不動産を買った場合、どのように確定申告すればよいのでしょうか。教えてください。
確定申告書の準備から納税(還付)までの流れ
今回も確定申告のご相談ですね。特に副業で不動産収入を申告する場合には、是非青色申告をしてください。節税できる金額が違ってきます。青色申告のやり方については、別の記事でまとめていますので、今回は実際の確定申告の手続きについてお話しましょう。
ステップ1. 必要書類を収集する
確定申告書の書式は国税庁のホームページからダウンロードが可能です。不動産に投資をしている方は、「確定申告書B(第1表、第2表)」および「所得税青色申告決算書(不動産所得用)」の2つの書類が必要になります。
(不動産所得がある場合の確定申告に必要な書類)
不動産所得がある場合の確定申告に必要な書類は以下の5点です。
1. 決算書不動産用(青色申告)
2. 収支内訳書不動産用(白色申告)
3. 現金出納帳など収入のわかるもの(通帳、契約書など)
4. 賃借人の氏名や家賃月額などがわかる資料(賃借期間、敷金、礼金)
5. 通帳、領収書、請求書など必要経費のわかるもの
(銀行振込書、借入金の支払明細、固定資産税領収書、保険金領収書、管理費など)
ステップ2. 不動産収支内訳書を作成する
所得税青色申告決算書(不動産所得用)を記入します。不動産賃貸経営で家賃収入を得ている場合、1年間の収入と費用を不動産収支内訳書に記載して、不動産所得を計算します。不動産所得とは、不動産物件(土地や建物など)の権利所有者が、権利の貸付を行った際に受け取ることができる権利金や賃貸料による収入(利益)のことを指します。
(不動産所得の計算方法)
不動産所得 = 総収入金額 - 必要経費
収入と経費をすべて収支計算書に記載して、差し引くと1年間の不動産所得が計算できます。不動産所得は不動産賃貸料などの総収入から不動産経営に直接かかわる必要経費を差し引いて計算します。
(総収入金額)
総収入金額には、不動産賃貸料のほか、更新料、頭金、名義書換料、共益費(電気・水道代、清掃費など)が含まれます。敷金や保証金は「預り金」となるため、お金が入ってきたとしても収入としては記載しません。逆に返還をしないものについては総収入に加えます。収入の計上時期については、契約書などで定められた支払日か、定めがない場合は実際に支払われた日となります。また、一時的に受け取る更新料、礼金、名義書換料などについては、不動産の引き渡しが必要なものは引き渡しのあった日、引き渡しを必要としない場合は、契約書の効力発生日となります。
(必要経費)
不動産所得の必要経費は不動産の取得や不動産経営に直接かかわる費用で、個人の家事費用と明確に区別できるものです。主なものには不動産取得税、固定資産税、賃貸部分の火災保険料、減価償却費、修繕費、支払利息などがあります。なお、修繕費は建物などの維持管理および修理にかかる費用です。したがって、不動産の価値を高めたり、耐久年数を延ばすための工費は「資本的支出」となり修繕費にはなりません。ただし、以下のものは修繕費として必要経費に計上できます。
・ほぼ3年以内の周期で行う修繕であること、またはその出費が20万円以下の場合
・費用が60万円未満または前年末の取得価格の1割以下の場合
(修繕費なのか資本的支出か判断できない場合)
ステップ3. 確定申告書B(第1表、第2表)を作成する
確定申告書Bは源泉徴収票1枚と不動産収支内訳書で計算した不動産所得金額を転記することで、作成することができます。確定申告書Bの詳しい作成方法については国税庁が発行している「確定申告の手引き」に詳しく記載されていますので、ご確認ください。
ステップ4. 確定申告書を税務署に提出する
作成した確定申告書類と源泉徴収票の原本を最寄りの税務署に提出します。なお、申告書の提出に関しては郵送でも受け付けています。
ステップ5. 納税/還付を受ける
確定申告で計算した税額は銀行や郵便局から納付する必要があります。なお、期間中であれば各金融機関に納付用紙が備え付けてありますので、こちらを利用しましょう。
(注意)
確定申告書を提出期限内に提出しても、税金が納付されていない場合、延滞税がかされます。申告書の提出とあわせて期限内に納税も済ませましょう。確定申告の結果、不動産所得で赤字が出た場合には、その赤字額に対応した税金が指定の口座に直接振り込まれます。提出してからおよそ2カ月から3カ月後が振込の目安です。
確定申告をする際の注意点
(注意点1)滞納家賃の取り扱い
不動産所得において注意すべき点は、収入を計上するにあたって住人から家賃が納金されていない、滞納されている場合でも契約等で支払日が定められている場合はその支払日で計上しなくてはいけません。
(注意点2)自宅の経費計上
また経費についても注意が必要です。必要経費として計上するには、賃貸事業に関係していて必要な経費であることが条件です。つまり自宅兼賃貸物件の場合、自宅分は必要経費にすることはできません。
(注意点3)所得が赤字の場合の土地を取得するために要した負債利子
不動産所得を得るための経費は、原則として全額が必要経費として認められます。しかし、不動産所得が赤字の場合、借入金利息のうち土地を購入するために要した借入金の利息部分については、必要経費に計上できなくなります。
以上の注意点を確認して、来年の確定申告時期に慌てないよう準備していきましょう。