不動産投資のリスクをコントロールする~不動産投資のリスクとは?
前回までは「不動産投資家が持つべき心構え~不動産投資の特徴を理解する」というテーマで、さまざまな不動産投資の特徴についてお話しました。今回から、心構えの第二弾として「不動産投資のリスクをコントロールする」をテーマに解説したいと思います。
よく株式やFXなどは「ハイリスク・ハイリターン」の金融商品といわれ、不動産投資は「ミドルリスク・ミドルリターン」などと言われることが多いのですが、そもそもこれはどういう意味でしょうか。
実は「リスク」という言葉は、様々な専門分野で若干ニュアンスが異なります。
たとえば経済学上では、「ある事象の変動に関する不確実性」という表現が一般的です。とくに金融(投資)の世界では、もっぱら「リターン(ロス)が予測どおりにならない不確実性」という表現になるかもしれません。
不動産投資も当然ながら、リターンに影響を与えるリスク要因が数多く存在します。
しかし、不動産投資のリスクは、単に「不確実性」にとどまりません。以前のコラムでもお伝えしましたが、不動産投資は、「投資」ではなく「経営」の色彩が強いため、「経営」に伴うリスクも存在しているのです。
今回は、これらのリスクを大きく分類し、それぞれのリスク要因を整理してみます。細かく分類すれば、数限りなく細分化できますが、今回は主だったもの列挙しております。
収益性に関するリスク
まずは収益性(キャッシュフロー)に関するリスクです。これは、投資活動のリターンに直結する問題です。
以前に、不動産投資のインカムゲイン(家賃収入)は予測しやすい、とお伝えしましたが、それでもリターンに影響を与える要因は数多くあります。
キャッシュフローに影響を与える要因はどのようなものがあるでしょうか。代表的なものを列挙します。
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空室リスク
空室が発生し、賃料収入が得られないリスク。 -
家賃滞納リスク
入居者が家賃を滞納するリスク。 -
賃料下落リスク
所有物件の賃料が下落するリスク。 -
修繕リスク
故障・老朽化等で修繕費用が発生するリスク。 -
金利上昇リスク
金利が上昇して、ローン返済額が増加するリスク。
これらのリスクは、毎月のキャッシュフローを悪化させます。運営手腕や、購入時の調査などである程度対策を打つことは可能です。
資産価値に関するリスク
次は資産価値に関するリスクです。これも投資のリターンに大きな影響を与えます。
あなたが保有する不動産は、時間の経過と共に価値が変動します。株式などと違って値動きは比較的緩やかですが、事故・災害時や、外部環境に急激な変化があった場合、資産価値に大きな影響を及ぼすことがあります。
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老朽化リスク
建物の躯体や設備が老朽化し、資産価値にマイナスの影響を与えるリスク -
事故・災害リスク
事故・災害の発生により、資産価値にマイナスの影響を与えるリスク -
外部環境に関するリスク
不動産市況、融資環境などの外部環境が変動することにより、資産価値にマイナスの影響を与えるリスク
これらの中には、対策が打てないものもありますが、リスクが現実化したときに、ショックを和らげる対策はいくつかあります。費用対効果の問題もありますが、この点は改めて解説します。
経営に関するリスク
前述のとおり、不動産投資のリスクは、単に投資の損益にとどまらず、「経営」に伴うリスクも存在しています。下記のようなリスクは、それほど発生頻度は高くないですが、リスクが顕在化すると、その対応に多大な費用と労力がかかる可能性があります。
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訴訟リスク
不動産の所有に起因する理由で第三者から訴訟提起されるリスク。賠償義務や、訴訟費用などが発生するほか、時間的・心理的な負担も相当なものになります。 -
流動性リスク
不動産の換金性が低いことに起因するリスク。不動産事業の撤退(売却)や転進(組み替え)などに大きく影響を与えます。
これらは、発生自体を未然に防ぐ方法もありますが、損害保険でリスクを転嫁して損失をやわらげる方法もあります。この点も改めてお伝えします。
以上、不動産投資に関するリスクを分類しましたが、これらのリスク要因を上手にコントロールし、リスク発生を抑えていくことが不動産投資で成功する近道であるといえるでしょう。
次回以降、それぞれのリスクについて、要因分析と対策を解説したいと思います。